2018.02.02ピックアップ

老舗ケーブルメーカーが教えるLANケーブルの選び方

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LANケーブルって、どれを買ったら良いのか分からないとか、同じような価格・性能だけどどう違うのか分からない、というような質問を受けることが頻繁にあり、本当におすすめなのはどれなのか、どれがオトクなのか、LANケーブルを企画開発する担当者に選ぶポイントを聞いてみました。

通信速度で選ぶ

LANケーブルを選ぶ際、長さや色などの見た目の他に、特に気になるのが「速度」と言われています。
無線よりも有線を好んで使われる方は、Youtubeなどの動画や、タイムラグなどを気にせず楽しみたいオンラインゲーム、大きなデータのやりとりなどをされる方は、安定した早い速度を求められているかと思います。

LANケーブルの速さは、「カテゴリ」という名称で表されています。カテゴリは、通信速度や周波数ごとに分けられていて、カテゴリの数値が大きいほど速くなり、周波数が高いと高速でのデータ転送が可能になり、データエラーを起こしにくくなります。ただ、速ければ速いほど良いのかと言うとそうでもなく、カテゴリの数値が大きいほどそれに比例して価格も上がりますので、自分がどのくらいの速さが必要かを考えて選ぶと良いそうです。

また、ネット回線の速度以上のスピードを出すこともできないため、契約されている回線速度やモデム等の機器の速度も調べた上で合うものを選んでいただくと良いかと思います。回線が遅いのにケーブル通信速度が速くてもケーブルの力を最大限引き出せませんし、逆に回線速度をせっかく速いものを契約されていても、ケーブル通信速度が遅いと理想のスピードを出せていない可能性があります。そういった場合はケーブルを変えるだけで通信速度が速くなる可能性もあります。

以下が、カテゴリごとの比較表になります。

カテゴリ5e

通信速度 1Gbps
周波数 100MHz
最適な用途 価格が手ごろでコストパフォーマンスが良いため、企業などで大量に導入されたい方におすすめです。

カテゴリ6

通信速度 1Gbps
周波数 250MHz
最適な用途 カテゴリ5eと通信速度は変わりませんが、周波数が2倍以上になるため、より多くのデータを転送することができます。光回線などを利用したい方に。

カテゴリ6A

通信速度 10Gbps
周波数 500MHz
最適な用途 カテゴリ6よりも通信速度が10倍、周波数もさらに倍となり、ネットワーク対応テレビを視聴したり、ブルーレイディスクレコーダーで録画、動画コンテンツ、ネットワークオーディオなどを楽しみたい方に。一般的なケーブルでは最速のカテゴリーになります。

カテゴリ7

通信速度 10Gbps
周波数 600MHz
最適な用途 通信速度は変わらず、周波数はさらにアップ。二重シールドケーブル、シールドプラグにより、耐ノイズ性能に優れ、主に工場や音声映像の産業用に使用されます。

配線する長さで選ぶ

続いて選ぶ基準になりそうなのが、ケーブルを配線する場所。つまりケーブルをどのくらいの長さで設置するかで、選ぶ基準が変わってきます。

小さなお部屋であれば短くていいですし、事務所や倉庫といった広いところで使うなら長い方がよいので、まずはどういったところで使うかを確認ください。

使う場所と必要なおおよそのケーブルの長さが決まれば、線の種類を決めます。ケーブルには、「単線」と「より線」と呼ばれる線の種類があります。



「単線」とは、太い銅線が8芯分入っているもののことで、8芯分入っているため固く曲げたりして使うことが困難ですが、その分安定した通信が期待できます。

単線に対して、「より線」は7本の細い銅線を8芯分を寄り集めて作られているもので、単線に比べて安定感は劣るものの、柔らかく配線がしやすいことが特徴です。

つまり、広い場所で使ったり、長さが必要な場合は「単線」がおすすめで、小さな部屋で使ったり、狭く複雑な場所の場合は「より線」がおすすめとなります。

形状で選ぶ

次に、LANケーブルと言っても、形状も色々とあるので値段や速さ、長さだけが選ぶ基準というわけではりません。用途や使う場所によって最適なものがあるので、ご自身に合ったものを選んでみてください。色々あって迷ってしまいそうですが、それだけ用途ごとに合わせて様々な種類が作られているということです。

スタンダードケーブル 標準のLANケーブルです。電波の干渉が少なくノイズの影響を受けにくいため、長距離の配線におすすめです。
スリムケーブル ケーブルの直径が通常よりも細いケーブルです。強度は落ちますが、細い分配線しやすいことが特徴です。
フラットケーブル 平たい形状をしたきしめんのようなLANケーブルです。薄くしなやかなため、カーペットの下や細かな隙間、窓際などの場所におすすめです。弊社のフラットケーブルだと1mmが最薄となります。
巻取りケーブル コンパクトに収納できる巻取りケース一体型のLANケーブル。持ち運びにおすすめなので、出張などでホテルで使う場合やコワーキングスペースなどで有線接続したい場合に最適です。また、コードが余ってパソコン周りがごちゃつくのを防ぐのにも役立ちますよ。

その他の選択基準

オプション的な要素になりますが、LANケーブルのコネクタ部分には特殊な加工が施されたものもあります。選ぶ際に迷った場合は、こうした特徴も抑えておくと選ぶポイントになります。

金メッキシールドプラグ サビに強く、接触抵抗が小さい金メッキ加工されたプラグ。弊社の場合は、カテゴリー7のものにだけ採用されています。
ショートコネクタ コネクタ部分が通常よりも奥行の短いもの。奥行が短いことで出っ張りが少なく、狭い場所での配線が可能になります。
スリムコネクタ コネクタの幅が通常よりも小さいもの。スリムになることでハブなどに接続した際、隣のポートと干渉しなくなります。
UTPケーブル UTPケーブルとは、ツイストペアケーブルとも呼ばれ、単純にLANケーブルとも呼ばれる。シールド保護がされていない通信用のケーブルで、家庭用やオフィスビルなど一般的なLAN用ケーブルとして広く使用されています。
STPケーブル STPとは、Shieldes Twisted Pairの略。内部をシールドで保護しており、周囲のノイズに強く最小限に抑えることができます。ネットワークが混線するような環境におすすめです。
PoE PoEとは、Power over Ethernet(パワーオーバーイーサネット)の略。
LANケーブルを通じて、PoE対応機器へ電力供給をすることが可能です。
ツメ折れ防止 プラグは予期せぬ強い力や衝撃、長年使用することでの劣化によってツメが折れることがあるのですが、それを防ぐ保護カバー。ツメが折れてしまうと差し込んだ後、抜けなくなったりすることもあるので、こうした機能があると安心ですね。
UL認定品 ULは火災、盗難などの事故から人命・財産を保護するための安全規格開発、研究、試験、検査を行っている機関で、「UL規格」と呼ばれる製品安全規格を策定しています。
PVC素材 ポリ塩化ビニルを使用したケーブル。耐候性と強度、燃えにくい特徴があります。通常LANケーブルの外皮は、この材質を仕様しています。
RoHS指令 人や環境に有害な物質の含有基準をクリアした、安全な製品です。RoHS指令において定められた6種類の物質の含有量を、基準値以下に抑えています。
(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテル)
RoHS2指令 RoHS指令は、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州による指令です。RoHS2指令では、RoHS指令にて既に禁止されていた6物質に加え、さらに4物質が追加されています。
REACH規格 欧州における化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限の制度です。人の健康と環境の保護や欧州化学産業の競争力の維持向上、化学物質を安全に使用することを目的としています。

いかがでしたでしょうか。

LANは聞き慣れない言葉も多く、どれを買ったらいいんだろうと迷われる方も多いと思いますが、自分の用途に合ったものを選んで最適なものを購入される際は選んでみてください。